キャッピングコマンドを使用して、形状の穴を埋める作業を行うことがあると思います。
しかし、特に低品質なデータで作業しているときなど、一見繋がっているように見える境界線が、繋がっていない、と言われることがあります。
例えばこんな感じです。

調べると、確かに面間に隙間があることが分かります。この例では、最大 0.02 mm 弱開いています。困りましたね。王道は周囲の曲面を修正して隙間を無くすことですが、、、、

それは重々承知していますが、「ここだけ何とかごまかしたい」と思うことも多いでしょう。本日はそのような場合のゴマカシ方について。
方法1: ソリッド化する
これは、要素トレランスを変更し隙間を無いものとしてしまう方法です。
要素トレランス以上離れているものは「離れている」と認識されます。したがって、「ソリッド化」コマンドで隙間がある部位を選択し、隙間以上のトレランス値を設定すると、隙間は無いことになります。

この状態でキャッピングコマンドを適用すると、今度は境界線は一繋がりと認識され、面を作成することができます。

この例では、トレランス値を 0.02 に設定していますが、ここで無闇にトレランス値を大きく設定すると、元のデータに輪をかけて低品質のデータを作ってしまうことになりかねません。そのため、値を幾らに設定するかはたいへん重要です。よく検討して値を設定してください。
方法2: 「内部曲線」を使用する
これは、キャッピングコマンドで拘束条件に「境界線」を使用するのではなく、「内部曲線」を使用する方法です。
「内部曲線」は通常は「境界線」と組み合わせて、曲面が通過する面内の線を指定するのに使用するのですが、この方法では「境界線」を一切使用せず、周囲の境界線をすべて「内部曲線」として指定 します。

この指定では作成する曲面の周囲を規定する境界線が無いため、プレビューするとシステムが想定する元面がそのまま表示されます。パイプ状の面や球状の面が表示されることが多いかもしれません。

そのままでOKの場合もありますが、多くの場合は、詳細オプションから、「一般形状」に「フラット(平面)」を指定すると良いようです。

これで曲面が作成できましたが、境界線より少し大きな面です。そこで、境界要素によるトリム コマンドで、周囲の境界線を使用して、作成した面をトリムします。

そうです!
この方法は、境界要素によるトリムコマンドの境界線補完機能を利用して、繋がっていないところを繋いでしまおう、というものです。
これで内側だけを残すと、目的の面が作成できました。

ただしこの方法では、境界要素でトリムコマンドの境界線補完機能が、繋がっていない部分に短い境界線を作成することがありますのでご注意ください。
本日は2つ、ゴマカシ方をご紹介しましたが、結構危険な方法を書いています。また、この方法がどんな形状にも必ず適用できるというものでもありません。「ゴマカシ」は所詮「ゴマカシ」でしかありませんので、このような方法は、どのくらいまで許容されるかを十分検討の上ご使用ください。
thinknews vol.615(2019年8月8日配信)
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